社畜女の愛され白書〜三十路の社畜OLは出会った翌日に八才年下男子と結婚しました〜
目を開けたら、いつの間にか陽が傾いていた。

ふと横を見ると、勇凛くんがベッドの脇の椅子に座ってうたた寝している。

綺麗な顔。

勇凛くんは心も綺麗だ。

社畜人生が始まってから、何もかもが澱んで見えていた。

勇凛くんは、純粋で優しくて真っ直ぐで、私の澱んだ世界を照らす希少種……。

見惚れていると、勇凛くんが目を覚ました。

「あ、すみません、つい寝てしまいました」

焦って慌てている。

「あの、これ買ってきたんです」

勇凛くんはコンビニの袋から雑誌を取り出した。

かわいいイラストが書いてある雑誌。

「え、まちがいさがし?」

「はい、これ景品も当たるんですよ」

勇凛くんがページを開いた。

いくつか鉛筆で丸がしてある。

「なかなか見つからないんですよね……」

真剣な顔をして見ている。

思わず吹き出してしまった。

「え、何か変なことしましたか?」

勇凛くんは戸惑っている。

「勇凛くんと、まちがいさがしの組み合わせがツボに……」

少し照れている勇凛くんを見て、ああ、悪くないかもしれない、と思ってしまった。
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