【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
最初の資料共有が始まった瞬間、違和感が走る。

映像が、ほんの一瞬ひっかかったように止まり──

次の瞬間、「接続が不安定です」という文字が画面に浮かんだ。

音声もぷつぷつと途切れ、やがて完全に消える。

「……止まりましたね」

先方副社長が、低い声で呟いた。

空気が、目に見えないところで固くなる。

「回線、確認します!」

壁際に控えていたSEが、慌てて前に出る。

モニターの裏や会議室の端にある機器を、次々に確認していく。

「社内ネットワークは生きています。ただ、この部屋から外に出る通信だけ、急にエラーが増えていて──」

早口の説明。

内容は、なんとなく分かる。

この部屋だけ、通信を欲張りすぎて詰まってる。

横で、勇輝さんが腕時計をちらりと見る。

会議の限られた時間がだんだんと削られていく。

「……失礼いたします」

私は一歩前へ出て、勇輝さんと先方に軽く頭を下げる。

「もしよろしければ、状況を少しだけ確認させていただけますか」

元SEの端くれ。

黙って傍観しているわけにはいかない。

先方秘書が驚いたようにこちらを見て、視線を勇輝さんへ送る。

勇輝さんは、ほんの一瞬だけ目を細め──

「やれ」

それだけ言った。
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