【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

帰郷

──土曜日

勇凛くんを連れて実家近くの最寄駅に立つ。

「緊張します……」

スーツを着てコートを着ている勇凛くん。

昨日までは落ち着いてたのに突然緊張しだした。

「大丈夫だよ〜私もう三十路だし。結婚して親も安心してるかも」

「でも、大事な娘さんじゃないですか……」

若いのに考え方がやや渋い。

父は手術をして経過観察で入院中により、病院にお見舞いがてら、勇凛くんを紹介。

駅で病院行きのバスを待つ。

地元はそこまで遠くないけど、会いたい人も特にいなくて、お盆や年末年始に顔出す程度。

「あ、川崎さん……?」

後ろから声をかけられた。

子供を連れた女性。

「どなたですか……?」

全く記憶にない。

「え!小中同じだったのに!」

よーく見てみると、やや記憶が蘇ってきた。

「あ……中村さん……?」

「そうだよ〜!覚えててよかったー」

確か少し仲がよかった気がする。

しかし、見た目が全然違う!
あの時はぽっちゃりしていたけどすごくスリム。
時の流れは人をこんなに変えるのか。

「川崎さん昔と雰囲気全然違ってびっくりした〜!あの時はのほほんとした感じだったけど、今はキャリアウーマンって感じでかっこいい!」

のはほん……
のほほんとしていたのか私。

「ありがとう」

「隣にいるのは……彼氏さん?」

「ううん、夫」

「えー!すごいカッコいいね!二人ともお似合い!」

──釣り合って見えてよかった……

「急に話しかけてごめんね!じゃあね〜!」

中村さんは子供と去って行った。

「七海さんは昔は全然違う雰囲気だったんですね」

勇凛くんは興味津々だ。

「うーん。自分だとよくわからないなぁ」

ただ、まだ擦れてなかったというか。

「勇凛くんは小さい頃から東京にいるの?」

「はい。遠くに実家がある人に憧れます。俺、修学旅行くらいしか遠くに行ったことなくて」



「勇凛くん、家族や友達と旅行は?」

「兄さんたちと歳が離れてるし、両親は定住しませんし、家族旅行はしたことないです。友達と遊びに行くのも制限されてたので……」

切ない……。

そんな状況でもこんないい子に育ったんだ。

きっと生まれとか関係ない。

勇凛くんは生まれた時から勇凛くんだったんだ。

「これから二人で沢山色んなところ行こうね」

そう言うと、輝くような笑顔で「はい!」と答えてくれた。
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