【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

それぞれの道

勇凛くんのお父さんは、数日後に海外に帰ってしまった。
勇凛くんのお母さんには会えないままだ。

「うーーーん」

スッキリしない気持ちを抱えながらパソコンを睨んでると

「どうしたの?」

突然話しかけられた。

「わっ!」

勇哉さんである。

「びっくりしましたよ!」
「ごめん、なんか深刻な顔してたから様子見てた」

勇哉さんはいつものように、読めない表情。

「七海ちゃん色々巻き込んじゃってごめんね〜〜〜」

──今頃何言ってるのコイ……この人。
いやもっと早くその言葉を聞きたかった。

「まあ、私も後先考えないで飛び込んだ道なので」
「え、そうなの?」
「……はい」

婚姻届を役所に持って行って提出したのは私だ。
巻き込まれた訳ではない。

「そうかー。俺さ、しばらく旅に出るわ」
「そうですか」

・・・。

「え?」

旅って

「会社どうするんですか?」
「森川くんがどうにかしてくれるよ」

いや森川さん来て少ししか経ってないよね!?

「それは無責任すぎるのでは……」

勇哉さんは椅子の背もたれに寄りかかり、のけ反って天井を見ている。

「自分の人生に責任を持つために、リセットしたいんだよ。心を」

意外な言葉だった。

「でも、結婚はどうするんですか……?」
「頭下げてキャンセルするよ」



「すごいお金かかりそうですね……」
「まあなんとかなるよ〜たぶん」

訳がわからない人だけど、この人なりに人生をちゃんと考えているのだと、やっと少し理解できたような気がする。

ただ深く関わりたくはないから、この距離感でいたい。

「じゃあ七海ちゃん、元気でね」
「え……もう行くんですか?旅に……」
「うん、兄貴には前言ってOKでたから」

じゃあこの人とはしばらく会わなくなるのか。

「お気をつけて」

最後なら少しくらい笑顔を、とほんの少しの作り笑顔をした。

「あーーーそういう顔されるとつら」

私は顔を背けた。
笑顔なんてするんじゃなかった。

「帰ってきたら沢山かまってね」

そう言うと部屋から出て行ってしまった。

やはり嵐のような男だ。
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