【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
勇哉さんに連れて行かれたのは──

営業部。

これはきつい。

俺は全く経験がない。

「森川くんをみんなに紹介するね~~」

勇哉さんが社員に声をかけて俺と勇凛くんは挨拶をした。

「森川と申します。宜しくお願いします」

「森川くん優しいしコミュ力あるから直ぐに仕事回していいよ~~」

研修とはいったい……。

「無茶ぶりやめてください……」

「え?そう?大丈夫、みんなどうにかしてくれるから!」

そして勇哉さんは行ってしまった。

なんで放置するんだよ。

流石にこれは酷い。

「森川さん……すみません。兄がご迷惑をおかけして」

「いや。まぁ。ああいう人だってのはわかっていたから、大丈夫だよ」

一回りくらい年下の男に心配されているようじゃダメだ。

「勇凛くんは何か指示されている?」

「仕事を見て回れと、言われています」

「え、その間勇哉さんは……?」

「どっかに行ってしまうので、社員の方に話しかけて聞いています」

──気の毒すぎる。

まだ入社もしていないのに、いいのかこの状況。

「……大変だな」

「はい。でも、やるしかないので。七海さんのためにも」

偉いな。

「そうだな。やるしかないな」

俺も川崎さんのためにここまで来てしまったわけで、彼女を助けられるように、少しでも早くここに馴染んでおきたい。

本当はそこまでコミュ力なんてないし、仕事だから仕方なくやっているだけ。

でも、今日から本気で気合を入れてやろう。と、自分を奮い立たせた。

そのあとは部署の人に片っ端から声をかえて仕事の内容を聞いた。

勇凛くんは俺の近くで一緒に聞いていた。

一生懸命メモをとっている。

ドタバタしながら昼になると、突然勇哉さんが戻ってきた。

「昼飯食いにいこ~~~」

飯のためだけに。

「勇凛くんは昼どうするの?」

「会社の近くで適当に食べようかと」

「川崎さんは?」

「七海さんは、休憩の時間が合わないんです……」

「森川くんまだ~~~?」

「勇凛くんも一緒に行く?」

「いえ、結構です」

兄貴たちに振り回されて大変だな。

俺もだけど。

「じゃあまたあとで」

この時まではまだ勇哉さんは、いつも通りに見えていた。
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