【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
「勇凛くん、次はカラオケをやろう」

私はこの話題から抜け出したかった。

「え……」

凄い嫌な顔をされた。

「え、ダメ?」

「いや……七海さんが歌いたいなら、どうぞ」

勇凛くんの反応が気になるが、私たちは次はカラオケの部屋に入った。

「勇凛くん先歌っていいよ」

「……いや、七海さん歌ってください」

「え、うん。わかった」

私は懐メロを歌った。

もう今の流行りの曲もわからず、青春時代の曲しか歌えない。

「七海さん、歌上手いです!」

勇凛くんは目をキラキラさせている。

「ありがとう。じゃあ次、勇凛くん」

マイクを渡した。

「あ……俺はいいです」

なぜ!?

「え、聞きたいよ」

「いや、俺はちょっと」

「少しでいいから」

勇凛くんは悩んだ末、なぜか昭和の歌謡曲を選んだ。

「七海さん、引かないでください」

勇凛くんは歌い出した。

それは──


見事に音程を外しまくっていた。


「もうここまでで勘弁してください」

「う、うん。大丈夫だよ」

──しばしの沈黙

「幻滅しましたよね」

「ううん。勇凛くんのこういう一面知れて、嬉しい」

「本当ですか?」

「うん、親近感湧いた」

「……ならよかったです」

勇凛くんが安心している。

ヤバい……。

勇凛くんのこのギャップが、私を猛烈にキュンの沼に引き摺り込んだ。
< 66 / 198 >

この作品をシェア

pagetop