社畜女の愛され白書〜三十路の社畜OLは出会った翌日に八才年下男子と結婚しました〜
私が叫んだら、勇凛くんもびっくりして起き上がった。

「なんでなんでなんで!?」

私は混乱していた。

「落ち着いてください。昨日七海さんは酔い潰れて、仕方なく家に連れてきたんです」

最悪だ。

「ごめんなさい……」

項垂れる私を見ると、勇凛君は立ち上がった。

「コーヒー飲みますか?」

「はい……」

申し訳なくて目を合わせられない。

勇凛君はドリップコーヒーを淹れてくれた。

マグカップがテーブルに置かれる。

「ありがとう」

コーヒーのいい香りが漂う。

私はコーヒーを少し飲んだ後、ふと現実に戻った。

「え、今何時?」

見渡すと時計があった。

──8時

「やばい!!」

また叫んでしまった。

「どうしよう!遅刻だ……」

「七海さん、今日土曜日ですよ」

「え?」

勇凛くんがスマホからカレンダーを見せてくれた。

「あ、本当だ……よかった……」

安心して、空気が抜けた風船のようになった。

「七海さん、あの、昨日のこと覚えていますか?」

「え?」

「覚えてないんですね……」

勇凛くんは困っている。

「え、何があったの?」

「昨日、飲み屋にいる時に、俺、婚姻届を七海さんに渡したんです」

──え?

「婚姻届!?なんで??」

頭の中は大混乱だった。

全く覚えていない。

「結婚することを前提に、なら考えてくれると言ってたので……。俺の本気を見せました」

嫌な予感がした。

「それ今どこにあるの……?」

「七海さんが、書いて、そのまま役所に一緒に行ったんです」

まさか……。

「何度か意思確認したんですけど、そのまま七海さん婚姻届出しちゃったんです」

血の気が引いた。

「え、つまりそれは……」

勇凛くんが少し恥ずかしそうにしている。

「俺たち、夫婦になったんです」

あまりの衝撃的な事実に、そのまま気を失ってしまった。

勇凛くんの私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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