ガラスの告白
 時男は大きな秘密の中の小さな秘密を知り、表情を驚かせていました。過去を隠したく、以前の所在地も偽ってたと。

「お父さんは、今は東京に?」

「うん。仕事もあるし、親戚を頼るにもお父さんは東京の生まれだから。だったら、お母さん側の長野はどうかっと私が持ちかけて、だからおじいちゃんおばあちゃんも、私の生活を知ったのは、去年の年末だったの。お母さんは……」

 語る内容に辛くなったのか、息を整え自身を落ち着かせています。

「お母さんは、おじいちゃんが連絡先を知っていて、内緒で連絡してくれていたみたい。結局、今は一人で暮らしをしていて、やっと会いにきてくれたんだ。七年ぶりかな? でもそうだよね、自分が捨てた娘に、顔会わしずらいしね」

 伝えられた言葉に時男は思いました。
 短く過ごした二人の高校生活。少女は常にふざけ笑うように笑顔を向けてくれていました。

 隠し持つ心情を押し殺していたのか、そんな過去だから、ただの日常生活に笑顔がこぼれたのか。どちらにせよ真似出来ないことだと、息を漏らします。

 母親や渡辺に守られていた自身とは違い、孤立した少女は、どんなに心細かったことどろうと。
 冷たい風と空気に、暖かな日差しが降りそそいでいましたが、気の利いた言葉も、慰めの言葉もかけることが出来ないでいます。
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