ガラスの告白
「どうしたの? 何か気になることでも」

 少女は微笑を残したまま眉を歪め、軽く首をふります。

「ううん……何でもないよ」

 少女の告白は、そこで終わっていました。
 少女は勢いよく立ち上がると、振り返り時男に手を差し出します。

「どうぞっ」

 戸惑いを覚えながらもゆっくりと、少女の手から表情の方に視線を向けます。少しふざけ気取る姿からは、先ほどの眼差しは消えていましたが、何かを隠し持つように時男を困惑させます。

 それでも心のどこかで少女に対し触れる喜び、好意を抱く自身に気づくと、汚れた自身を恐れ手は震え、差し出してくれた手に答えることができないでいました。

 時男は無性に悲しくなってしまいました。

 ただ優しさで差し出された手に触れるだけなのに、過去の辛い話しを聴いてもなお、心浮かれる自身が醜く思えます。
 このような気持ちを抱いたことが、正しいのか、間違った気持ちなのか、わからな無いでいます。
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