ガラスの告白
 温もりを意識してはいけない。バス車内での、要と経験したあの感情を思い出すと、自身が再婚相手と同じ生き物だと感じ、自然に手が震えていました。

 残酷にも時が進むように、怯える時男には、明るい声が向けられます。

「今度は私が、淑女的になる番」

 少女は手を差し出したまま、笑顔をくれています。
 時男は恐る恐る手を前に出すと、少女は震える手に気付き、それを見つめていました。
 驚くことも怖がることも無く、また哀れるように、じっと見つめます。

 何事もなかったかのようにそっと、少女は両手で隠すように包んでくれると、時男は視線を合わすことができずに顔を逸らしました。自身は今、泣いていると感じていました。

 顔を歪め声を枯らし、惨めに心が泣いていると感じました。
 時男は感情を抑え殺すと、少女の温もりを感じることなく、優しさだけに触れていたいと願うのでした。
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