ガラスの告白
 視界に入り気に留まったのは、その奥の角に位置する場所でありました。
 目隠しの衝立があるものの、脇からは利用していることが確認できる、四人がけのソファーが置いてあります。


 そこには背中を向ける形で、学生服姿の女生徒が一人、座っていました。
 普段ならそこは置物のような存在で、特別な何かがあった時の席だと思われます。
 何かあった時。そんなことはまず見かけることはなく、あっても、授業時間などの生徒が職員室におとづれることのない、使用されていること自体、目にすことはない席だと考えていました。


 そんな場所だからこそ時男には、ソファーに腰を下ろしている人物に興味を示していました。
 よく見ると、机の上には教科書とノートを広げているようです。
 貧血などで体調が悪く、職員室で自習では無いかと考えましたが、でもそれなら、保健室ではないかっと、自身の考えを否定します。


 時男は表情を曇らせながら、後ろ姿の少女を見つめました。
 教室に居られない理由があり、この場所にいるのではないかと考えてしまい、時男は胸が苦しくなりました。
 制服姿も朧(おぼろ)げにしか見えませんでしたが、他校の制服であることに気づきます。

(転入の手続きを済ませ、ここに?)

 見入る姿、静かにペンを揺らし書き進める姿勢は、とても可憐に映ります。
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