ガラスの告白
 見つめられた少女は恥ずかしさに頬を赤く染め、顔を崩し話します。

「なーに。そうでもなかったの?」

 時男はある言葉を思い出すと、意地悪な喜びを浮かべました。

「内緒……かな?」

 時男は何時ぞやの仕返しができたと「うん」頷きました。

「えっーそれだけ」

 少女も恥ずかしさのあまり背中を向けますと、再び黒板に目線を移しました。
 チョークが置かれていることに気づくと、少し考え黒板の隅に、直線だけで書き表した傘の絵を描いていました。

 そして傘の下左に、名前を書きます。
 書かれたのは、以前教えてもらった苗字の川上ではなく、内緒にしていた名前で琴音(ことね)と書かれていました。

「私の名前。ほら神社で私の秘密を教えてあげるって約束したでしょ。萩原くん忘れていたでしょ?」

「忘れ持ってこのこと」

「そうだよ。教室で顔を合わせた日も、名前を覚えてくれなかったんだもん。ひどいよ」
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