ガラスの告白
 ですが少女の秘密だけを知り、自身の秘密を話さないのは不公平のように思えたことから、出た考えでもありました。

 バスの中での要にも、そして目の前の少女にも、誰にも知られたくない秘密や伝えたくても届かない言葉があるのだとわかりました。

 相手に受け入れてもらえないと、ひび割れ壊れてしまいそうな、ガラスの告白を誰もが持ってると。

 時男は口を開くと、声が震えていました。

「実は僕……子供の頃」

 何かを察したように、隣に立つ少女の細く弱々しい指先は、時男の指先を優しく包でいました。
 時男はその行動に驚きます。
 少女はそんな時男を見つめ、先ほどとは違う落ち着いた口調で、つぶやいていました。

「これなら怖くない?」

 時男はコクリっと、頷きました。少女は安心した様子で言葉を続けます。

「誰でも少なからず人には言いにくい悩みを抱えているんだもん。いいよ無理に告白しなくても。乗り越えよう」

 時男はその言葉に救われる思いでした。
 弱いのは自分だけでなく、本当は少女も同様な気持ちを、今も持っていると教えてくれているようです。
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