ガラスの告白
 時男の口からは自然に「ごめん。ありがとう」っと言葉が漏れていました。
 少女は首を、小さく振り返します。

「ううん。私、初めて会った時から気づいていたの。萩原くんにも人に言えない悩みがるんだって」

 時男は出会った頃の、少女から送られる視線を思い出していました。

「だからかな、そんな萩原くんだからこそ人の痛みがわかり、私のこと受け入れてくれるんじゃないかと思って……なんかずるいね、私の方こそ、ごめんね」

 何処までも救われる言葉と、包まれ触れる指先は、とても優しく温かい物だと知るのでした。
 沈黙で視線を送る少女に答えようと、時男も顔を向けていました。
 少女は何故か、驚く表情で時男の顔を隅々と見ています。目が泳ぐように、動いているのがわかります。

 疑問に思い見つめますと、少女の表情は喜びの混じるものへと変わり、活気ある声がもれ初めます。
 祝福を共感してほしいと、催促しているようでした。

「私、私ね。萩原くんが今までガラスのように冷たく見えていたの、自分が変になっちゃったかと思っていたけど、どうやら治ったみたい」

 時男は少女の言葉に驚き、聞き返します。

「ガラスに。今までそう見えてたの?」

 少女は明るくも、安心したように答えました。
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