ガラスの告白
「私が勝手にそう見せていたみたい。変だよね」

 時男は驚きながらも、考えます。

 少女自身も、不安な気持ちで転入の日を迎えたはずでした。けれど、同じように怯え心細そうにしている子の存在に気づき、同様にそう見せていたのではないかと。

 あるいは、時男の過去を伏せたい願望が、少女にそう見せていたかとも浮かびました。

 いえっ。ガラスの姿に見えることが切っ掛けで二人は近づいたのだから、あのキラキラと輝き降る天気雨の魔法に、まんまと二人は掛かってしまったのではないかと。夢のように決めつけました。

 出会った当初、怖がるように距離を置き、見つめていたことにも納得しています。
 時男は「そうかっ」その様な状況だったのかと、優しい目を向けました。
 少女は恥ずかしさを噴き出すように笑い、付け加えていました。

「でも良かった……萩原くんが……意外に男前だったから」

 微笑みを残し、黒板に書いた二人の名前を見つめ、しみじみとつぶやきました。

「ありがとう。こんな私につき合ってくれて」

 少女の横顔を見て愛おしいと思い、時男は純粋な気持ちで、少女の温もりを感じたいと思います。
 包み込まれた指先を、握り返していました。
 少女は初めて意思表示をした時男を感じとると、自身の悴む手の温もりを聞いています。

「冷たい?」
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