ガラスの告白
 少女の困惑混じる微笑の後、何処かで「ピッシッ」と張り詰めた音が聞こえると、その音は実在したのか幻音なのか、時男の心にわからないまま残り続けます。

 長い沈黙の後、少女は誤魔化すように「そうね、また」と呟き、その表情に不安を覚えたのでした。

 その日を境に少女の姿を、見ることはありませんでした。
 知らさせることも無いまま、少女は卒業の翌日に、この町を離れてしまったと聞きます。

 そのことは三日後に訪れた、少女の自宅でそれを知るのでした。
 老夫婦は申し訳なさそうに、引っ越し先は告げられなかったと首を振っていました。
 時男は手紙を書くことも。連絡する場所も分からず。日常生活だけを送っています。

 教室内で聞こえた、あの張り詰めた音の原因は、愛してしまったことにより、少女の心や二人の関係に、ヒビが入ったのではないかと考えていました。

 ガラスの少女を傷つけ壊してしまったのは、やはり自身の欲望だと心を締め付けるのでした。
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