ガラスの告白
 時男はそんな仕草をみつめますと、少女に対する気持ちも別の感情に変わります。
 担任の胸を張り明るく話す態度とは裏腹に、少女は人前にいることを耐えているようにも伺えます。

(あの容姿を人前に晒すのが、バレるのを怖がっているのではないのか?)

 辛そうな姿が映ると自身のことのように、そっとしてあげてほしいと思うのでした。

 村上の力強くなる口調で「……後数日。残り僅かだが、仲良くな」と語ると、まばらな拍手の音に、時男は辛くなり自身の瞼を強く閉じていました。

 少女の指示された席は、時男の斜め前に位置する、空いている席でした。
 歩き出そうとする少女に、ひときわ明るく誠実のある青年の声が届きました。

「ねえ、何処から転校してきたの」

 前列の窓際に位置した席に座る、渡辺が声を掛けています。
 両足を前にではなく横側に出し、肘を机と椅子の背もたれに掛けた姿勢で座っています。

 少しやんちゃにも見える、行儀の悪い座り方でありました。
 少女は一度、担任に顔を向けた後、呼吸を整え返答していました。
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