ガラスの告白
「愛知……の名古屋」

「へえ、だから何となく雰囲気が違い、都会ぽいんだ」

 渡辺の冗談まじりの言葉に、周り女生徒からも明るい声も聞こえていました。

「渡辺君。それ酷いよ」

 明るく、ざわめきが戻る教室内。
 かしこまりながら側まで歩いてくると、少女は時男を見て一瞬立ち止まりました。

 少女はすぐさま顔を背けましたが、何処か怯えるようで、時男は申し訳ない気持ちになっていました。

(僕だけが、ガラスのように見えていることに気付いたのだろうか) 

 無表情ではありましたが、悲しそうに、何かを怖がるようにも映り、時男の心に小さな罪悪感を植え付けました。
 少女は席に腰を下ろしますと、隣の席に座る女生徒は、平然と声をかけます。

「この辺は寒くて驚いたでしょ」だとか「名古屋ってどんな街」など、よくある当たり前の会話でありました。

 そんなやりとりの中。少女は時折、時男の表情を伺うように小さな視線を向けていました。
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