ガラスの告白
 体育館から外に出ると、朝から降り続いていた小雨は、止んでいました。
 重厚な体育館の扉を閉める際、少女にぶつからないよう丁寧にゆっくり閉めています。
 少女は、そんな時男を見ながらも、少し警戒をするように距離を置いていました。

 時男は(やはり意識していることが、表情にわずかながらも出ていたのだろうか)と、考えます。

 時男は少女の気持ちを詮索してしまい、後ろめたい気持ちから、直視することは出来ないでいました。
 体育館からは本舎までの間を、細い石廊下で続いています。
 静かに時間が流れるているような午後の校舎に、音楽室から聞こえるピアノと、下級生の合唱の歌声が小さく届いていました。


 鼻を押さえ歩く時男の後を、ガラスの少女は申し訳なさそうに着いて来ていました。
 沈黙を気にして視線を向けるも、少女はうつむき肩を狭め歩きます。
 その仕草はガラスの容姿でなくても、気を遣ってしまうほどです。


 職員室にいた少女が、ガラスの様な姿だったとは。時男はため息のように受け止めます。
 現在、見えていることが真実なのか、幻なのかと困惑していました。
 遅れまいと少女が小走りになると、危なく映り。傷つけ壊れないかと、足取りを遅らせました。

 少女は時男の気遣を感じ取ると、不思議そうに見つめ、初めて声をかけていました。

「あの……大丈夫? ですか」
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