ガラスの告白
 声をかけられ、緊張が走ります。

(平然を装い、自然に会話ができるだろうか)

 そんな考えを持ちながら振りかえると、少女の身体は所々が水色に濃く色付き、どのような顔付きであるか確認出来ていました。
 くっきりした瞳の形。しなやかに膨らんだ頬がわかると、自分でもいけないと否定する、異性を意識した感情が生まれます。

(近くで見ると、こんなに素敵な表情だったんだ)

 皆と変わらぬ。それ以上な女性として映っていました。
 あわてて視線をそらす時男に、少女は困った表情に顔を歪めると、申し訳なさそうに声をかけます。

「御免なさい。私のこと守ってくれたんでしょ」

 時男は少女の弱々しい声色に、自分の接する振る舞いは、不機嫌であると誤解してしまうかもしれない。そう思い、優しい言葉を探し考えると、自然に足取りが遅いものに変わっていました。

 時男は歩みながら振り返ると、少女も時男に視線を合わせていました。

「気にしないで……君が……気にすることないから」

 嫌な思いをさせないよう意識したのですが、少女の名前を思い出すことが出来ないでいました。
 朝の紹介の時点で名前を告げていたのですが、ガラスの姿が気になるあまり、それ以外のことは全て記憶として残っていなかったのでした。
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