ガラスの告白
 それでも動こうとしない少女に対し、保健教員は立ち上がり近づくと、何やら耳元で囁いていました。
 無表情でその話を聞く少女を見て、どの様な内容かわからず、時男は気まずく感じていました。

 自分と一緒だから教員も立場上そう進めているのではないだろうか、何かの理由でいるガラスの少女だけならば、無理に進めることなくこの場にいることを許可したのではないかと、と考えていました。

 ですが、話を聞き終えた少女は恥ずかしそうに手で口元を隠す仕草を見せると、顔を伏せました。
 声色も明るいものに変わり、答えます。

「萩原くん……一緒に行ってくれる」

 立ち上がると手荷物をつかみ、素直に体育館に向かおうと行動にうつします。
 少し気後れする時男に顔を向け、もう一度言葉をかけていました。

「さぁ、行こう」

 そんな行動をする少女に、時男はこう思いました。

(声色からして今の感情は、晴れやかなのだろうか)

 困惑する時男に対し、少女は保健室から廊下へと出てしまいました。
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