ガラスの告白
 言葉を受け止め考えると、途中から時男の胸に不安が強まりました。
 時男は今まで、軽率な理由で学校を休むことはありませんでした。
 
 ましてや授業を途中で抜け出す行為は目立ってしまい。クラス生徒から少なからず早引けしたと噂されると考えていました。勧められた提案に、緊張と罪悪感を覚えます。
 時男は言いたくない言葉でしたが、抜け出す提案を否定しました。

「でも……これから卒業式の進行説明があるし。先生に怒られるよ」

 止められた答えに少女の汗ばんだ息遣いは、肩を落とし、ため息に変わります。

「そっかー。そうだよね」

 少女の落ち込む仕草を見て、時男は優しさのない返事だったと後悔していました。
 少女は「ごめんね」と呟くと、水色のガラスの姿は、一段と透き通って見せていました。

(あっ、彼女はいま、傷ついてしまっている)

 少女が足音が聞こえないほど、静かに足をすすめますと、後悔と今の状況を考え、何かの分岐点に立っているかのように、感情を揺さぶりました。

(少しぐらい、彼女を喜ばす行動を取っても、それが目立つ行いであっても、卒業間近のこの時期なら大丈夫だろう)

 心のどこかで、小さく後押しする気持ちが生まれています。
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