ガラスの告白
「そうそう、呼び名。俺たち小学生の頃からの幼馴染だから。昔はよく要と三人で遊んでいたんだ」

 渡辺が相槌(あいずち)を求めるように要を見ました。
 女生徒は知らなかったと感心し話します。

「へっーそうだったんだ。そう言えば渡辺の家も同じ方角だったよね」

「うん。今は引っ越して離れちゃったけど、昔は割と近所に住んでいたんだ」

「ふーん。そうそう、萩原ん家って、かなり貧乏なんでしょ」

 渡辺は嫌な質問だと顔を歪めました。

「うっうん……でもアルバイトしながら頑張っているみたいだよ」

 渡辺は、要に向け目配せをすると、要も思い出すように優しく目を細め答えます。

「とっ君。優しいから」

 二人の時男を庇うような発言に、不快に表情を浮かべた女生徒は、少女にも時男にも納得いかないと感じていました。思わず口を滑らせたように言葉を漏らしてしまいます。

「萩原も、生い立ちが悲惨すぎるもんねっ」

 渡辺も心当たりがあるように沈黙しましたが、要はその言葉に疑問がった表情をみせます。

「えっ、悲惨って?」

 女生徒は自身でも罪悪感を持つように、口に出すのを躊躇(ちゅうちょ)しました。
 それは周りの友人らも気お使い、要の耳には入れないよう心がけていたからです。

 ですが心の隅にある残酷な気持ちが、言い出してしまい仕方がないと、正当化して話してしまいます。
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