ガラスの告白
 心の品定めをしているようにも感じ、授業を抜け出し訪れたことを、怒られている様にも感じます。
 今まであまり、気にすることのなかった存在ではありましたが、時男は思わず、目線を合わせ警戒をしました。
 そんな時男に少女は気にすることなく、崖の上の景色から川を見下げていました。

『萩原くん』

 呼ばれ振り向くと、少女は赤い手すりに軽く両手を乗せ、期待の声で時男が近づくのを待っています。
 時男は誰にも気づかれない程度に、お稲荷さんに会釈すると、その場を足早に離れていきます。
 近づき横に立ち並ぶと、そこから見える景色を。同じ時間を眺めました。


 すぐ下には湯川、その向こうには田園が広がります。水色の空を慌(あわ)てた夕焼けが部分的に雲を染めていました。
 時男からも自然に声が漏れます。

「いい景色だ」

 少女は同意するように、少し自慢げに答えました。

「来てよかったよねっ」

 少女は崖下際を見渡し気づくと、緑に葉をつけだし並ぶ木々を指差します。

「あの木は桜だよね?」

「うん」

「あとどれくらいで、咲くのだろう。咲いていたら素敵なのに」
< 64 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop