ガラスの告白
「ふふっ、でもそこは、内緒ってご誤魔化してもよかったかもね」

 時男は少しの間、考えるように沈黙すると、そうかっと気づき、何故か恥ずかしい気持ちで胸元のボタンかけに、手を添えました。
 安心をし、力が抜けた時男に、少女の風のような声が流れます。

「私ね、ある理由があって、学校……前の学校に行けなかったの」

 あまりにも優しく話し出すので、それが告白で在ることに遅れて気づきます。 
 ある理由。重みがあるその言葉だけに、時男の頭の中に印象付けました。

「単位もギリギリだし、残りの高校生活を楽しんで卒業したいの」

「単位って、今日なんかの午前中の授業は」

「大丈夫。いい先生ばかりで、授業は職員室でも登校してくれば、授業に出席したことにしてくれるみたい」

 納得するように「そうなんだ」っと、聞こえないほどの声でつぶやきます。

「でも嬉しいわ。友達になんて言ってくれて。こんな私でよければ、こちらこそ仲良くしてほしい」

 時男は自身の過去を偽り、つぶやきます。

「……ありがとう」

 少し強い風が吹くと、少女は髪型を気にするように、風下に姿勢を向けていました。
 通り抜けた風を見送ると、手すりに持たれ、風でなびいた髪を手で押さえ整えています。
< 67 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop