ガラスの告白
 ゆっくりと歩く少女は足を止めますと、顔を両手で抑え、その場で蹲ります。
 女性がそれを宥めようと、少女の肩に両手を添えていました。

 時男はその状況を見て、寄り添い歩く人物が誰であるか、すぐに受け止めることができていました。

 少女はいつも気を張って落ち着いてはいますが、今は子供をむき出しに泣いています。
 今まで見た美しく可憐なガラスの少女が、今は哀れな姿に映り、静まった校庭から少女の鳴き声が今にでも届いてしまいそうです。
 教室内の坐淡めきが、途切れないことを願っていました。

 卒業式の前日ともなると、昼食を迎える事なく、下校時間が訪れます。
 帰宅のためバス停に向かいながらも、時男の頭の中では、校庭で泣き崩れる少女の姿が、頭から離れることはありませんでした。

 明日また、笑顔をむけてくれるだろうか? どのように言葉をかけたら良いのだろうと、特定の良い考えなど浮かばず、ただ心配で不安な思いを噛み締めているだけでした。

 そもそも明日の卒業式に出席するのだろうか。
 時間が経つにつれ、心配事は膨れ上がるように時男を苦しめるのでした。
 その中でも、一つの考えが浮かぶと、行動に移そうと徐々に強まって行きました。

(そうだ今からで会いに行き、明日卒業を迎えようと声をかけてみたらどうだろうか)

 バス停に向かう足を止めると、振り返り少女の家に向かい歩いていました。
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