だからアナタに殺されたい。
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それから私はローゼルが受けてきた嫌がらせの数々の証拠を周りの協力を得て集めた。
ローゼルを見てきた皇宮内で働く人たちも思うところがあったようで、皆、協力的だった。
証拠集めに奔走して、1ヶ月後、私はそれらを持って、皇帝陛下への謁見を申請した。
今の皇帝陛下は実力主義だ。
貴族だろうが、平民だろうが、優秀であれば、平等に接してくれる。
私には薬師として〝帝国の聖女〟と言われる実績があったこと、私の話が帝国始まって以来の天才騎士ローゼルのことであったことが重なり、見事、私は陛下への謁見を掴み取った。
そして私は全ての証拠を陛下に提示し、静かに主張した。
「帝国の未来…いや、今現在も必要な最大の戦力を誇る騎士、ローゼルの力が脅かされています。このままでは彼が本来の力を発揮する前に、倒れてしまう…もしくはここから去ってしまいます」
私の話に陛下は嫌な顔一つせず、真摯に向き合ってくれ、理解を示した。
ローゼルがいた環境が劣悪だったこと、それを作った騎士たちの行動の酷さ、愚かさ。
全てに呆れた陛下は、ローゼルに嫌がらせをした者たちを徹底的に調べ上げ、全ての者をこの皇宮から追い出した。それが貴族であろうと関係なかった。
ここでの絶対的な揺るぎない君主は皇帝陛下ただお一人だったからだ。
それからローゼルはその優秀さと実力から第一騎士団から第二騎士団への移動を命じられた。
こうしてローゼルを害していた全ては皇帝陛下のお力により、迅速に消え、新しい環境でローゼルは新たな騎士生活を送り始めた。
そんなローゼルが今日も小さな傷を負い、私の目の前に座っている。