だからアナタに殺されたい。




「今日も仕事中に?」

「そうです。痛いです」



よく見れば頬にある擦り傷をじっと見つめる私に、ローゼルが無表情のまま「ここを見て」と言わんばかりに、静かに主張する。

もっと大きな怪我を負っているローゼルを何度も見て来たが、痛いなどと一度も言っていなかった。
おそらく、これも痛くないだろうし、言われなければ気づかない、お風呂に入ってしみた時にようやく気づくレベルのものだ。

だが、これがローゼルなりの甘えなのだろう。
そうだと思うと、かわいいと感じてしまう。

ローゼルは毎日のようにここ、救護室にやって来ては、私に治療を頼む。
いつも小さな傷をこさえて。

第二部隊所属になり、実戦が増えたので、仕方のないことだが、その治療を他でもなく私に頼むことが、私はとても嬉しかった。

ローゼルの世話を焼き続け、この間は皇帝陛下に直談判し、私はローゼルを仰々しい言い方だが、救った。
さすがにいろいろと思うことがあるようで、ローゼルはそんな私に少しずつ心を開き、今ではすっかり人慣れした家猫のようだ。

ローゼルはわかりづらい。
だから甘え方もわかりづらい。それでも、以前とは違う姿に、多分甘えているのだろうな、と思う。



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