だからアナタに殺されたい。



あまり大きな傷でもないので、軽く消毒をしてローゼルの処置を終える。
それから「はい、おしまい。お大事に」と呆れたように笑うと、ローゼルはまっすぐと私の瞳を覗いた。

宝石のような輝きを放つアメジストの瞳に何故か小さく心臓が跳ねる。



「エレノア、何か困ったことはありませんか?」

「え、あ、うん、特には…」



無表情のままいつものように投げかけられた言葉に、私はゆるゆると首を横に振った。

ローゼルはいつもこうして私の様子を伺ってくる。
そこには自分を助けてくれた相手に対する恩義がある。

かわいい家猫はどうやら私を恩人として認識しているらしい。

じっとこちらを見つめるローゼルに、かわいらしいと思うと同時に、一瞬だけ胸がチクリと痛んだ。
この胸の痛みがなんなのか、この時の私はまだ知る由もなかった。


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