だからアナタに殺されたい。
6.耐え難い渇き
*****
そしてあの事件から1年以上時は流れ、現在。
ローゼルの行動一つ一つに感じる胸の痛みや高鳴りが恋であるとのちに私は知った。
だが、私は吸血鬼だ。
例えローゼルへの恋心を自覚したとしても、それをローゼルに伝えるつもりはない。
帝国始まって以来の天才騎士であり、誰もを魅了する美貌を持ち、少々わかりづらいところもあるが誠実でまっすぐなローゼル。
そんな彼に私なんて釣り合うはずがない。
だから私はいつもなんでもないフリをして、彼と接していた。
「…あれ?」
荷物を入れている大きな鞄の中を見て、私は首を傾げる。
確かに入れた〝あるもの〟が何故か見当たらない。
入れたはずだ。
絶対に。
見当たらないそれに焦る気持ちを抑えながらも、私はもう一度鞄の中をくまなく探し始めた。
ここは野営の4人用テントの中。
ここで救護隊員は夜を過ごすことになっている。
何故、私が今ここにいるのか。
それは帝国騎士団第二部隊の遠征に薬師として同行しているからだった。