だからアナタに殺されたい。
今回の遠征先は帝国最北端の街、キキルだ。
キキルでは今、モンスターが大量発生しており、その討伐へと私たちは向かっている。
遠征期間は移動も含めて、1週間ほど。
最短ルートで帝都から馬車や馬で2日間移動した私たちは、今日も森の中で野営をしていた。
ここまでなんの問題もなく、スムーズに来れた。
明日にはキキルへとたどり着く。
だが、ここで事件は発生した。
「…ない」
私から絶望でいっぱいの声が漏れる。
やはり探しても探しても、鞄の中から〝あるもの〟…タブレットを入れていた小さな缶の箱が見つからないのだ。
「エレノア?」
突然、様子のおかしくなった私にルルが伺うように声をかけてきた。
ルルは当然ながら人間だ。
そして吸血鬼にちゃんと憎悪を抱いている。
そんなルルに本当のことなど言えるはずがない。
平静を装わなければ。
万に一つでもおかしな姿を見せないように。