だからアナタに殺されたい。



*****



昨日までは確かにあったのに。

私はタブレットを飲んだ昨日の夜のことについて、思い返していた。

なんでもないことのようにカモフラージュのたくさんの栄養剤と共に私はあれを確かに飲んだ。
そしていつも通り鞄の中にしまった。

それなのに、そこに何故かない。



「…手のひらサイズのシンプルな缶の箱ですか。俺も見てませんね」

「そう…」



マックスの応えに、小さく肩を落とす。
外もくまなく探し、何人かの騎士やこの遠征の同行者にそれとなく缶の箱について聞いてみたが、誰も見ていないと言う。

このままタブレットを摂取できなければ、禁断症状に陥ってしまう。

まずは瞳の色が生まれ持った色のものから濃い血のような赤へと変わる。
それから徐々に理性が奪われ、血を喰らいたいという、恐ろしい本能だけが私の中に残る。

まさにバケモノになってしまうのだ。

溜まっている疲労と、もうすぐタブレットを摂取し24時間になることからじわじわと胸の内に焦りが広がる。

ーーーその時。



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