だからアナタに殺されたい。



ドクンッと心臓が大きく跳ねた。

感じたことのない動悸に、少しずつ上がっていく体温。
初めての感覚に、私は悟ってしまった。
限界が近いのだ、と。

ここにいてはいけない。

気がつけば私はマックスに背を向け、森へと走り出していた。



*****



森を少し進んだ先で、私は足を止めた。



「はぁ…はぁ…」



上がる息をゆっくりと整えながらも、私は考えることをやめない。

どうすれば、いい。

確実にタブレットのある我が家からここはあまりにも遠すぎる。その為、家に帰ると言う選択肢はない。
じゃあ、動物の血を…とも考えたが、生き物の血を直接飲むことにはやはり抵抗があった。
それに何よりも私の能力ではこの短時間で動物を狩ることなどできないだろう。



「…はぁ、はぁ」



荒い息がいつまで経っても整わない。
疲れによるものなのか、緊張によるものなのか、もうわからない。

どこかの村に行けば、そこの吸血鬼たちに助けてもらえるかもしれない。
だが、吸血鬼は基本、忌み嫌われ、その正体を決して知られぬようにひっそりとコミュニティを作っている。
そんな彼らを果たしてこの短時間で見つけられるか。
それに帝都からここまで最短距離で森を進んで来た為、どこに村があるのか、詳しい位置がわからない。




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