だからアナタに殺されたい。
「エレノア、俺は例えアナタが吸血鬼でもいいんです」
「…え」
何を言って…。
「でもこのままだとアナタが吸血鬼だと他の人にバレてしまいます。だから、俺の血を飲んでください」
ローゼルから出たあり得ない言葉に、思わず目を見開く。
私が吸血鬼でもいい?
自分の血を飲め?
彼は一体何を言っているのか。
自分の言っていることがどういうことなのかわかっているのか。
吸血鬼に血を吸われるということは、最悪殺されることだというのに。
私はローゼルを殺したくはない。
けれど、崩れかけた理性から溢れる本能がずっと私に告げるのだ。
ーーー彼の血を喰らいたい、と。
「…ダメ、よ。アナタを、殺したく、ない…」
震える声でなんとかローゼルを拒絶する。
だが、ローゼルはそんな私に柔らかく笑った。
「構いません。アナタになら殺されても」
月明かりを背負い微笑むローゼルは、やはり何よりも美しく、綺麗だった。
その魅力的な姿は私を惹きつけて、離さない。
ローゼルは自身の手の甲に噛み付き、そこから血を流した。
美味しそうな赤に、思わず釘付けになる。
「さあ、飲んで。エレノア」
差し出された手に、私の中の理性が完全に崩壊した。
もう抗えない。今すぐにでも、その血を口に含みたい。
例え自分がバケモノに堕ちたとしても。