だからアナタに殺されたい。
8.聖女の翼を手折りたい
sideローゼル
艶やかで美しいピンクゴールドの髪がサラサラと揺れ動く。その間から見える顔はとても小さく、綺麗な顔立ちをしている。
中でもあの黄金の瞳を宿す愛らしい猫目は、誰もを捉えて離さない不思議な魅力があった。
さらにエレノアは美しいだけではなかった。
彼女は誰にでも平等で優しい。
困っている人を放っておけず、簡単に手を差し伸べ、どんなことに対してもまっすぐで諦めない。
だからこそ、彼女は〝帝国の聖女〟と呼ばれていた。
いつもいつも、何をしていても、彼女の姿が目に浮かぶ。
彼女は帝国の聖女らしく、俺にも変わらず手を差し伸べる。
小さな異変に気づき、それとなく解決方法を探す。
服に困っていたら服を渡し、食べ物に困っていたらパンを渡す。
俺の様子を伺い、怪我も毒もすぐに治し、なんでもないことのように笑う。
最初は彼女の力など借りなくともなんとでもなるので、ただただお節介だ、とあまりいい思いは抱いていなかった。
自己満足による善意を押し付けられている気分だった。
だが、それでも何故かすごく嫌な感じはしなかった。
そして気がつけば、彼女の姿をいつも探していた。
彼女の声をいつも聴こうとしていた。
彼女の視線の先をいつも追いかけていた。
彼女の笑顔に、いいな、と思うようになった。
俺は彼女のことをどうしようもなく、好きになっていた。