だからアナタに殺されたい。
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そんな日々が続いた、とある日のこと。
帝国最北端の街、キキルでの討伐遠征中の野営で、俺はあるものを拾った。
「…?」
俺の手のひらにある小さな缶の箱をじっと見つめる。
どこにでもあるようなシンプルなその缶の箱に、エレノアの姿が頭をよぎる。
こんなものをエレノアも持っていたような…。
いや、こんなものエレノアじゃなくても、誰だって持っているだろう。
何をしても、何を見ても、なんでもエレノアに繋げてしまう。
それほどまでに、俺はエレノアに囚われて、支配されているのだ。
軽く頭を横に振り、改めて缶の箱を見つめる。
動かすたびに中からカチャカチャと音が鳴るので、何か小さなものが入っているのだろう。
中身を見ないことには、持ち主が誰であるかわからない。
そう思い、蓋を開けると、そこには小さな白い錠剤が複数入っていた。
この錠剤は…。
見たことのないものに、一瞬だけ首を捻る。
だが、ふと、それが見覚えのあるものに感じた。
吸血鬼が己の本能を抑える為に飲むタブレット。
以前、吸血鬼の取り調べをした時、こんなタブレットを見たような…。
そこまで考えたところで、俺の耳に鈴音を転がすような愛らしい声が聞こえてきた。