だからアナタに殺されたい。
「…手のひらサイズのシンプルな缶の箱ですか。俺も見てませんね」
「そう…」
マックスとエレノアの話し声が引き続き聞こえる。
視界の端で捉えたエレノアは残念そうに肩を落としていた。
そしてしばらくして、森の方へと駆け出していった。
まるで何かから逃げるように。
*****
ぼんやりとした月明かりの下。
大きな木の幹に体を預け、ゆったりと腰掛ける。
そんな俺の腕の中には、ぐったりとしているエレノアがいた。
エレノアはやはり吸血鬼だった。
そうであろうと思いエレノアの後を追ったが、こちらを咄嗟に見た赤色の瞳に、それは確信へと変わった。
エレノアの瞳は黄金だ。
あの赤は吸血鬼である何よりの証拠であり、誰かの血を求めているサインでもある。
先ほどまで泣いていたエレノアの瞳はもう黄金に戻っていた。
様子も落ち着いており、いつものエレノアそのものだった。
「…ローゼル、痛くない?気持ち悪いところはない?」
「ないですよ、エレノア。俺は大丈夫です」
俺の胸から顔をあげ、エレノアがひどく心配そうに俺を見つめる。
その姿があまりにも愛らしくて、思わず表情が緩む。