だからアナタに殺されたい。
柔らかいエレノアの髪に触れてみる。
それから宥めるように、優しくて撫でて、その柔らかな感触を味わった。
ああ、みんなの聖女が俺の腕の中にいる。
俺に堕ちてきてくれた。
その事実が嬉しくて嬉しくて、胸がいっぱいになる。
脳裏に先ほどのエレノアの姿が焼き付いて離れない。
遠慮がちに、怖がりながらも、それでも本能には逆らえず、ゆっくりと俺の手の甲に唇をつけたエレノア。
血の味を知り、何度も何度も這わせる舌に、漏れ出る甘い吐息と声。
どこか気持ちよさそうにトロンとしていく瞳に、こちらの欲まで煽られた。
それと同時に走る甘い電流に、頭がおかしくなりそうになった。
吸血されるという行為がこんなにも、甘く、熱く、刺激的だったとは。
この快楽に身を委ねて、彼女に殺されるだなんて、本望だ。
しかし、俺は彼女に殺されなかった。
アナタになら殺されてもよかったのに。
「…ごめん、ローゼル。あとでちゃんと手当てするから」
痛々しそうに俺の手を見るエレノアに、幸せな気持ちが広がった。
謝らないで、俺だけの聖女様。
アナタをこうしたのは俺なのだから。