だからアナタに殺されたい。
9.血の誘惑
sideエレノア
遠征中、結局タブレットを見つけられなかった私はローゼルを頼るしかなかった。
森の奥深くで…ローゼルの部屋で…来る日も来る日も人目のないところを探しては、ローゼルの腕に牙を立てる。
本当は好きな人の、ローゼルの血など求めたくなかった。
せめて彼の前でだけは、ただの人間でありたかった。
だが、タブレットがない今、どうしても血を求めずにはいられない。
理性が呆気なく崩壊し、本能が私を支配する。
ーーー目の前の男の血を喰らいたい、と。
遠征5日目の夜。
私は今日もローゼルの部屋に訪れ、欲望のままに隣に座っているローゼルの左腕に舌を這わせていた。
騎士として鍛え上げられたしっかりとした腕に、唇を押し当てて、夢中でその甘い血をすする。
それと同時に流れる甘い電流は私をおかしくさせ、虜にした。
「…んん、ふぅ」
…もっと、もっと、もっと!
無我夢中でただただローゼルを喰らい続ける。
やめたいと思えない。この快楽に身を任せて、ずっとこうしていたい。
「…っ」
いや、ダメ…っ!これ以上は…っ!
まるで人間を捕食するバケモノのような思考に、一瞬だけ、正気を取り戻しかける。
しかし、そんな私の耳元で、ローゼルはどろどろに砂糖を煮詰めたような甘い声で囁いた。