だからアナタに殺されたい。



「我慢しないで、エレノア」



ローゼルの言葉がわずかに戻りかけた私の理性をグラグラと揺らす。
必要最低限でいい。そうでなければ、ローゼルが死んでしまう。
私は人の血を喰らうバケモノになんてなりたくない。

確かにそう思っているはずなのに、あと少しだけ、とローゼルからどうしても口を離せない。



「ん、エレノア…」



ローゼルから甘い吐息が漏れる。
ローゼルの端正な顔はほんのりと紅潮しており、悩ましげに下がられた眉はまるで快楽に耐えているようだ。
私の吸血行為は私にだけではなく、ローゼルへも甘い快楽を与えているようだった。

私とローゼルの甘い吐息がこの静かな部屋に小さく響き続ける。
その中でローゼルに優しく頭を撫でられ、胸がぎゅうと締め付けられた。

まるで恋人同士のような甘い雰囲気の2人。
けれど、これは決してそんなものではない。

捕食される者と捕食する者。
ただそれだけの関係なのだ。
だが、ローゼルは優しく、何よりも私に恩義を感じている為、こうして私を気遣う仕草をいつも見せていた。

私が苦しんでいるから自らの血を差し出しているだけ。
それだけに過ぎない。

私とローゼルは恋人ではないし、夫婦でもない。
決してそうはなれないとわかっているからこそ、擬似的にそのような体験をしてしまい、胸が苦しくなる。

涙がまた溢れた。





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