だからアナタに殺されたい。
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気がつけば私の中の血を求める本能は収まり、ローゼルから口を離していた。
1日に必要な血を摂取でき、今度こそ本当に正気を取り戻せたのだ。
やっとローゼルから離れた私に、ローゼルは残念そうに、甘やかすように言った。
「俺が死ぬまで飲んでよかったんですよ?」
心臓がドクンッと跳ねる。
罪悪感でいっぱいなのに、好きという感情が溢れて止まらない。
二つの感情がぐちゃぐちゃに混ざって、私をおかしくさせていく。
いつもローゼルは私を助けて、こうして地獄へと堕とす。
ゆっくりと沈んでいく体に、私はただただ身を任せることしかできなくて。
まるで、悪夢だ。
それもとびきり甘い。
そう、私はいつも思っていた。
でも大丈夫。
この甘い悪夢もこの遠征中だけだから。
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何事もなく討伐遠征は終了し、私たちは予定通りの日程で帝都まで戻ってきた。
やっと息もできないほどの甘い悪夢が終わったのだ。
皇宮内の騎士団宿舎前で解散した今回の遠征部隊の参加者たちは、それぞれが帰路へとつく為に動き始めた。
2日間、休むことなくずっと移動してきたので、みんな、疲れの色がある。
その中で私も1週間分の遠征の荷物を肩にかけると、みんなと同じように、皇宮外へと足を進めようとした。
「エレノア」
だが、私の前に現れたローゼルによって、その足は止められた。
いつもと変わらない無表情なローゼル。
しかし、何か言いたげな瞳に胸騒ぎがする。
今日で悪夢は終わりだ。
もう、私はローゼルから血をもらう必要はない。