だからアナタに殺されたい。
*****
ローゼルに連れられてやって来たのは、騎士団宿舎内にある、おそらくローゼルの部屋だった。
初めて訪れる場所なので、濁すような言い方をしたが、この部屋の鍵をローゼル自ら開けていたので、ほぼ間違いないだろう。
一人暮らしをするにはちょうどいい広さのここには、ベッドと書類仕事をする用のデスクとソファと机などがあった。
散らかっておらず、整理整頓されたここはかなり綺麗で落ち着きのある場所だった。
ローゼルらしい部屋だ。
そんな感想を抱くと同時に、鼻いっぱいにローゼルの爽やかでどこか甘い香りが広がる。
その香りに私はやはりここがローゼルの部屋であると確信した。
私から手を離したローゼルが私の荷物を丁寧にソファの上へと置き、こちらにゆっくりと近づく。
それから真剣な表情で、徐に口を開いた。
「エレノア。アナタは先ほど俺への感謝を伝えてくれました。まるで、今日がこの関係の最後であるかのように」
一歩、また一歩とこちらへと歩みを進めるローゼルに、ドクンッと心臓が跳ねる。
全てを聞かなくとも、彼が何を言いたいのかわかってしまった。
けれど、どうか勘違いであって欲しいと願う。
そうでなければ、私は悪夢から目覚めることができない。