だからアナタに殺されたい。
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そんな日々が続いた、とある日の夜のこと。
隣町で薬師をしている両親が今日は私の家まで来て、泊まっていた。
久しぶりの両親との楽しい夕食後、入浴も終え、1人になった私はカーテンを少しだけ開け、寝室の窓の外をなんとなく見つめていた。
街にはほとんど灯りはなく、星が美しくまたたいている。
2人が来た時はまだ夕日が沈んでいた最中だったというのに。
時間を忘れて、2人と話す時間はとても楽しく、かけがえのないものだった。
最近、ローゼルのことや、続く血への葛藤でいろいろと疲弊していたが、お父さんとお母さんが来てくれたおかげで少しだけ明るい気持ちになれた。
久しぶりに感じる胸の軽さに、自然と表情が和らぐ。
ーーーその時だった。
「…っ!」
あの衝動が突然私の全身を駆け巡ったのだ。
こんな誰もが寝静まり返った時間に、本能が疼いてしまうとは。
とてもじゃないが、ローゼルを頼りに行ける時間帯ではない。
大丈夫、大丈夫よ…。
熱くなる体に、私はそうなんとか冷静に言い聞かせた。
ここ1ヶ月、ローゼルに頼れない時間帯にこの衝動が訪れることなんて何度もあった。
私はその度に、あの手この手で血を求める本能を抑えてきた。