だからアナタに殺されたい。



最初の頃はタブレットを飲んだ。
タブレットを受け付けなくなってしまって以降は、粉末状にして誤魔化しながら少量飲んだ。
まだ抗う術なら、きっと、ある。

…血が、欲しい。
ローゼルの、血が。

思考がどんどん血に支配されていく。
カラカラに喉が渇いて、あの赤を口いっぱい含んで、喉に流し入れたい衝動に駆られる。

おぼつかない足でなんとか机の引き出しに入れていた粉末状のタブレットを見つけると、私はそれを手に急いでキッチンへと向かった。



「…はぁ、はぁ」



荒い呼吸のまま、なんとかコップに水を入れる。
それから粉末状のタブレットをほんの少しだけ口に含み、その水と一緒に喉に流し入れた。

少しでも血の成分を摂取できれば、この衝動は抑えられる。

ーーーそう安堵したのも束の間。



「…ぅ、ゔ、お、おぇ…っ」



私の口から先ほど飲んだ水などが吐き出された。
おそらくその中には粉末状にされていたタブレットもあるのだろう。

ほんの少量でももう体が受け付けないなんて。

吐き出されたものを見て、心がどんどん冷えていく。
体は抗い難い熱にうなされているというのに。

この衝動に、本能に、飲まれてしまったらどうなってしまうのか。
今までは、ローゼルの血が私を正気に戻してくれていたが、それができないとなればどうなるのか。


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