だからアナタに殺されたい。



先祖が力を尽くした結果、吸血鬼たちは人間と変わらない生活を送っている。
…が、それと同時にこんなにも恐ろしい本能を身に宿していると知らずに生きていたとは。

きっと自分たちをバケモノだと理解したくなかった吸血鬼たちが何百年もかけて認識を、意識を、歪めてしまったのだろう。
私も直接血を吸うまでは、血を吸うなんてあり得ない行為であり、バケモノではない私ならそんなことはしないと思っていた。

しかし、私は人間ではない。
吸血鬼だ。だからバケモノであることに逆らえなかった。



「…あの、先生」



ここまで考えて、医師の話と私の行動に齟齬があることに気づき、医師の瞳をおずおずと覗く。




「先生は一度吸ってしまったら最後、その本能を抑えられず、相手が死ぬまでその血を喰らう、と言っていました。ですが、私は血を死ぬまで喰らっていません。その相手は生きています」




私の疑問に、医師は苦い顔をする。




「…そうでしょう。アナタを見ればわかります」

「え」



医師の言葉の意味がわからず、首を捻る。
そんな私に、医師は続けた。




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