王子様を助けたら子供を授かり溺愛されてどこまでも追いかけてくる件
そしてリコーニ婆ちゃんの惣菜やは、サオリーナが13歳になった時に”リコーニ食堂“になった。

席は全部で10人ほど座れば満席になるほどの小さな店だったが、昼食と夕食を提供した。

ただしメニューはその日のお任せで、一つしかないのだ。選べないのだが、毎日昼も夜も満員で、三人は毎日働き詰めで、とうとうリコーニ婆ちゃんが倒れてしまった。

過労だったので大事無く1週間もすれば元気になるだろうという医者の見立てだったが、サオリーナは優しいリコーニ婆ちゃんが青い顔をしてべットに臥せっているのを悲しい思いで見つめるしかない自分に情けない思いだった。

水も風も土の魔法も何の役にも立たない。リコーニ婆ちゃんを楽にしてあげたいと切実に思うサオリーナだった。

そんな気持ちが働いたのかその時に、サオリーナは治癒の能力に目覚めた。

リコーニ婆ちゃんが倒れて2日目の朝目が覚めたらサオリーナは自分が人を癒せる力があるのに気が付いたのだ。

サオリーナはすぐにリコーニ婆ちゃんの側に行って両方の掌をリコーニ婆ちゃんの身体にあてて目をつぶり“早く良くなれ早く良くなれ“と心の中で念じた。

その時に手のひらから出た光が、リコーニ婆ちゃんの身体を包んでいった。

するとリコーニ婆ちゃんの頬に赤みがさして顔色が良くなりゆっくりと目を開けた。そして

「ああ~っ、よく寝たなんだか体がすっきりして軽くなったみたいだわ。今なら畑を10周でもる走れ回れる気分よ」

そういって起き上がった。サオリーナとマリス爺ちゃんは顔を見合わせてにっこりと笑いあった。

畑を10周もする必要はないけれど…良くなってよかった。

サオリーナの魔力については三人の秘密だったのだが、治癒の能力はもっと知られてはいけない。

役人に知られれば国に召し上げられていいようにこき使われるだけだからだとマリス爺ちゃんは言っていた。

そういえば転生前に読んでいた異世界物で聖女がこき使われている話もよくあったなあと思いだす。くわばらくわばら。
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