「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「ところで、環奈。
 なんで、一個空けて座るのよっ」
と悦子が文句を言ってくる。

「……ここはプライベートな空間なので、ひとつ空けて座る決まりなんです」

「ないから、そんなの」
 椅子足らなくなるだろうが、と西山に文句を言われる。

 そのとき、ドアが開いて、猫に導かれた男がやってきた。

 聖一だ。

「環奈!」
と向こうも驚いた顔をする。

「やだっ。
 この人、一番好みっ」
と小声で言って立ち上がる麻沙子に環奈は言った。

「聖一さん、美少年じゃないんですが……」

 悦子が聖一をまじまじと見ながら言う。
「見たことあるわ、このイケメン」

「聖一さん、うちの会社にたまに来てますよ」

「あ、はじめまして。
 環奈の元許嫁の筑紫聖一(つくし せいいち)です」

「元?」

「縁談話は断られたんですよ、環奈に」
と言いながら、聖一は滝本に、

「瀧本さん、隣いい?」
と訊いていた。

 一瞬、滝本が止まる。
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