「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
二人はガラス張りの多国籍料理の店にいた。
今まで入ったことのない、こういう感じの店は入りにくいが、滝本がいると、なんだか心強く、すっと入れる。
そういえば、隠れ家カフェは最初から躊躇なく入れたな。
猫に導かれたからか。
店から漂う雰囲気が、ホッとする感じだからだろうか。
そんなことを考えながら環奈は大きなガラス張りの窓から行き交う車を見ていた。
「こうしてると、デートのようですね」
ふと思いついて、そんなことを言うと、滝本が飲みかけていたワインを吹き出した。
「隠れ家カフェは、もはや自宅。
隠れ家カフェの料理は、我が家のおうちご飯。
――くらいの感じなので、あそこではかなり寛いでしまっているんですけど。
こういう全然知らないお店に来ると、ちょっと改まった雰囲気になっちゃいますよね」
「……そうか」
と言ったあとで、滝本は、
「デートの相手が俺でいいのか?」
と訊いてくる。
「まあ、他にデートするような相手、いませんし」
「聖一とか、新浜さんとか、西山さんとかいるじゃないか」
西山さん、そこに入りますかね?
と思いながら、環奈は言った。