「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 顔を上げると、滝本は慌てたように言う。

「いやっ、愛があった方が偽装結婚も長続きするだろうっ?」

 偽装結婚に愛、必要ですかね?
と思ったが、つまみに頼んだ美味しそうなチキンのローストが来たので、訊かなかった。

 細長く切られたチキンは綺麗にハーブで飾られている。

「そういえば、子どものころ、憧れたんですよね。
 丸ごとのターキーとか」

「クリスマスとかに出るじゃないか」

「うちのは食べやすいように最初から切られてるんで。
 そういえば、昔は生きた鳥がたくさん入ったパイみたいなのがあったとか」

「……昔っていつだ」

「中世くらいですかね?」
というしょうもない話しながら、

 いや、今の、あれよはなんだったんだ?

 というか、我々はクリスマス、一緒に過ごすのでしょうかね?
と思っていた。
 




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