「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「いいなあ。
 私もつまらない話も聞くから、結婚してくれる?
とか言われたい~」
と麻沙子が言う。

「いやあの、つまらない話とは言ってないですからね、誰も」
と環奈は言ったが、

「だって、つまんない話の気配がするから誰も聞かないんじゃない」
と悦子は主張する。

「それにしても、仲良しですよね、お二人」
と悦子が新浜たちに言った。

「ああ、名前が――」
と西山が言いかけたので、

 名前が近くて出席番号が前後だからですよね、と環奈は思ったのだが、西山は、

「名前が一緒だから、なんとなく」
と言う。

「え?」

「俺たちの名前、そんなに一般的じゃないのに」
と言いながら、西山は皿を片付けに奥に入る。

「なんて言うんですか?」
と訊いた麻沙子に、新浜が、また一瞬の間のあと、

「あきづ……」
と言いかけたが、扉の開く音がした。

 反射でか。
 女子との会話から逃げようとしたのか。

「いらっしゃいませ」
とそちらを向いて新浜が言った。

 そして、自分でビックリする。
< 211 / 328 >

この作品をシェア

pagetop